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あなたとコンビになりたいだけ
唐突にこんなネタが降って沸いた
沸いていたのはきっと私の頭
なぜ突然ロベルトなのか……そして雰囲気的に店員ロニ兄さんだからロニ兄さんで
いきなり現パロも謎だしロベルトというところも謎
そして微妙に長い
昼間はチビ達の面倒を見て、夜間はコンビニのバイト。
深夜のコンビニのレジ。日付が変わる頃のこの場所が俺の仕事場。
自動ドアが開いて、客が入ってくる。
「いらっしゃいませ」
おそらく聞いてはいないだろうが、マニュアルどおりに声をかける。
その客はドリンクコーナーで缶珈琲を手に取ると、すぐにレジに並んだ。
缶珈琲をレジに置いて、一言。
「肉まん、ひとつ」
いつものように、肉まんをひとつ頼んで後は何も話さない。
表情もいつもと変わらず、無表情というか、仏頂面というか。
そして俺も何も話さず缶珈琲と肉まんを袋に入れて、カウンターに置く。
「233円になります」
「……あ」
その客はごそごそとポケットの中から手を出して、その上に乗せられた何枚かの小銭を見る。
不服そうに顔を歪めると、客は250円をカウンターに置いた。
「レシート、結構です」
「はい。……おつり、17円になります」
面倒だと言わんばかりに顔をしかめていた客は、レジ袋を片手にコンビニを後にした。
その後姿を暫く見て呟く。
「……珍しく、丁度じゃなかったな」
何度も訪れては、いつも同じやり取りを繰り返す。
今回ばかりは違ったが、とても印象に残る客であることは確かだ。
とある日のことだ。
いつもはちゃんと残っている肉まんだが、今日は売り切れている。
あの客がこのコンビニを訪れるまで、まだ時間がある。
「………………」
ひょっとしたら今日は買わないかもしれない。
でも、今日も買うかもしれない。
悩んだ末、俺はスチームマシーンに肉まんを数個入れた。
余ったら俺が買って帰ろう。きっとチビ達も喜ぶだろう。
「肉まん、ひとつ」
「も、申し訳ございません、まだ……」
残念ながら、間に合わなかった。
もう少し早く気がついていれば間に合ったのだろう。
「……じゃ、珈琲だけ」
「あ、あの、もう3分もかからないんで、良ければ」
押し売りか。
いやでもいつも買って帰っているのだから、今日も買って帰ってほしい。
やっぱり押し売りだ。
「……じゃあ、お願いします」
そういって客はレジから少しずれて携帯を取り出した。
え、そこで待機するの?
俺レジから動けないじゃないか。
「ひょっとしてさ」
唐突にその客は俺に声をかけてくる。
俺は予想外の事態に異様に焦った。
「オレ、覚えられてる?」
「え、あ、はい。すんません」
客はなおも携帯から視線をそらさずに続ける。
俺の声が若干裏返ったことは気にも留められていない。
「何で? いいじゃん、仕事だろ」
「はぁ、まぁ……」
数秒ほど間が空いて、再び客が口を開いた。
視線はスチームマシーンに向いている。
「……肉まん、追加したのか」
「え、なんで」
「数。いつもより大分多い」
よく見ているものだ。
多分俺はそんなことに気がつかない。
「わざわざ追加しなくても良かっただろうに」
「いえ、たいした手間でもないですから」
「そうか」
話しているうちに肉まんができたらしい。
缶珈琲と肉まんを袋に入れる。
客はポケットから233円を取り出してカウンターに置いた。
レシートはいらない、というとそのまま袋を手にしてコンビニから出て行った。
俺はというと。
「なんつうか、意外と喋る奴だったな」
レジに小銭をしまいながら意外な発見に感心していた。
たまには、こういう異例があってもいいかもしれないと思った。